「けものフレンズ」監督降板騒動に関する自分なりの理解
25日の朝4:00に始まった「けものフレンズ」監督降板騒動について、取りあえずKADOKAWA(というより、けものフレンズプロジェクトA)からの経緯の説明があったため、両者の意見が出そろったといえる。(発言の食い違いがあるが)
発端は2017年9月25日朝5:00にTwitter上でたつき監督の投稿から始まった
突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました。ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です
— たつき/irodori (@irodori7) 2017年9月25日
この「残念です」の一言からネットが盛り上がり、署名活動が行われるなど騒動になった。
一連の騒動を受けて名前の挙がったカドカワ(正しくはKADOKAWAであると思われ、又、さらに正しくはけものフレンズプロジェクトA)から一連の騒動への経緯がホームページに掲載された。(タイトルクリックでニュースページに飛べます)
ここではたつき監督が降板したのは制作会社側からの申し入れであり、カドカワから要請したものではない旨が明記されている。
アニメーション制作を担当していただきましたヤオヨロズ株式会社には、関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用がありました。映像化プロジェクトとしては次回の制作を引き続きお願いしたかったため、情報は事前に共有してほしい旨の正常化を図る申し入れをさせていただきましたが、ヤオヨロズ株式会社からは、その条件は受け入れられないので辞退したい、とのお返事でございました。
この点に付き、両者の主張が食い違っているわけであるが、自分なりに理解した内容を記述しようと思う。
なお、100%私の勝手な解釈であり、すべて事実に基づいていない妄言であることは注意いただきたい。
長くなるため、結論から先に書くが私の理解としてはよくある儲けの配分を巡った争いであり、付き合わされるファンはたまったものではないなと言う印象である。
〜以下、私の解釈が続く〜
おそらく、ここでいう情報共有や連絡がないままでの作品利用というのは
けものフレンズ 12.1話「ばすてき」 by irodori アニメ/動画 - ニコニコ動画
【けものフレンズ公式】すぺしゃるアニメ動画「けいばじょう」 by ゲスト アニメ/動画 - ニコニコ動画
【けもフレ新作アニメ】日清のどん兵衛 × けものフレンズ 「ふっくら」 by ゲスト アニメ/動画 - ニコニコ動画
これらのことであると思われ(ひょっとしたら同人誌も含む?)、それぞれ記事執筆時点で
投稿日時:2017/04/05 01:35 、再生数:2,408,916
投稿日時:2017/08/09 11:15 、再生数657,882
投稿日時:2017/09/19 18:02 、再生数:545,669
となっている。(騒動後のコメントも見られ、騒動前の再生数がどの程度だったか不明であるが参考まで)
一番最初の投稿では以下のように記載されており、
※趣味の自主制作なので「新作映像」とは別です!
その他二つでは以下のように記載されている。
原作:けものフレンズプロジェクト
「製作」ではなく「原作」となっているところが気になる点である。
これをどのように理解したら良いだろうか?
騒動前はけものフレンズプロジェクトAを当然ならが通したコラボ企画と思われたが、今回のけものフレンズプロジェクトAからのニュースを見るに、どうも事情が異なり、この辺についてもめているように読める。
これらのことから推測するに、これらは「けものフレンズ」の二次創作であるというのがヤオヨロズ株式会社の見解であり、そこからさらに邪推するにコラボ収入はすべてヤオヨロズ株式会社に入っている可能性がある。(けものフレンズプロジェクトAの言い分を見るに8月に揉めたと言っているのでJRAの後ぐらいか?)
しかし、これらコラボ動画は公式サイトの二次創作のガイドラインをみるに、規約違反に当たろう。(タイトルクリックで該当ページに飛べます)
<二次創作に関するガイドライン>
「けものフレンズプロジェクト」は、“けもフレ”を愛してくださる皆様の二次創作(自作物のみ)活動を歓迎しています。
趣味の範疇における、個人または同人サークル等で、以下のガイドラインに沿って活動いただく際には、利用についてのご連絡は不要です。2.禁止事項
(1)有償無償に関わらず、事業性の高い営利目的での利用
※同人誌頒布等の活動につきましては、過度な営利性がないと判断できる場合は、該当しないとします。
(2)「けものフレンズプロジェクト」に帰属する素材(イラスト、動画、音声、楽曲等)を直接二次利用すること(著作権侵害)
※個人のツイッターやブログのアイコン、ヘッダーなどに関してはオリジナルのイラストを使用していただいて構いません。
(4)他社(第三者)に版権が帰属するコラボレーション作品などの利用全般
連絡は不要かもしれないが禁止事項に該当すると思われる。よって、これらは本来けものフレンズプロジェクトAに帰属すべきであり、当然にけものフレンズプロジェクトAに事前に説明、許諾を得るべきというけものフレンズプロジェクトAの主張は至極もっともであると感じる。
しかし、けものフレンズプロジェクトA側の言い分を見るにヤオヨロズ株式会社側はその条件は受け入れられないとの回答がなされているらしい。
ここだけ見るとヤオヨロズ株式会社に問題があり、けものフレンズプロジェクトA側の言い分が正しいと思える。
しかし、ではなぜここまでもめるのか。
企業と企業がもめる時はたいてい「金」である。今回の場合、「けものフレンズ」の収入に関する配分でもめているのだろう。
この辺は契約書を見ない限りはっきりとしないがここではけものフレンズプロジェクトAにすべての収入があり、ヤオヨロズ株式会社には制作費だけが渡され、関連収益は一銭も落ちないものとして扱う。なぜならばここまで両者の関係がこじれているからだ。
ここがアニメ業界の難しいところであるし、ブラックなところであると個人的に思っている。
アニメは当たればでかいが、ほとんど損しか残らないというギャンブルみたいなものだ。特に低賃金ブラックな制作実態でも続いてしまうほどに昨今の供給過剰な状況ではなおさらである。
なので、権利者側としての言い分は「当たるか当たらないかわからないものに大金を払って投資したのだからリターンも当然に私のものだ」
一方、当たった時の莫大な収入がすべて権利者のものになることについて労働者側としても不満はある。「それはそうかもしれないが少しぐらい分け前をくれても良いじゃないか」というところであろう。
通常のメーカー企業などの場合、作品は従業員が作るので、春闘などの労使交渉で話が成され、お互いの妥協点を探りあう。
ところが、アニメ業界は違う。制作者と投資者(権利者)が完全に別会社であり、後でもめないためにも業務委託契約でがちがちに敷居をもうけられているはずだ。
この場合、次のようになる。
ヒットしなかった場合:投資者は損。制作者は事業収入を得る。
ヒットした場合:投資者は得。制作者は事業収入を得る。次回作の収入もある?
大ヒットした場合:投資者は大得。制作者は事業収入を得る。次回作の収入もある
今回の場合は大ヒットした場合であろう。グッズやカフェなど大賑わいであるとTwitterなどで報告が散見される。
で、まあ人間なので「正当な対価」で揉めるのは世の常である。今回も揉めたのであろう。いくら制作者が頑張ったとしても自分たちにはお金が入らないと。今回のようにヒットする見込みが立ってなかった場合、よりそうなるような契約になっていよう。
カドカワはともかく、ブラックブラックと言われるアニメ制作会社にまともな契約締結ノウハウがあるとはとうてい思えない。
ま、こういう場合でも普通は何%か制作会社側に収益が落ちるようにしてちゃんちゃんになるようにするものである。
実際グッズなどではそうなっているかもしれない。
ここからはさらに推測であり、ヤオヨロズ株式会社が欲深い会社のパターンとして扱う。
上記で述べたようなグッズ関連がきちんと「制作委員会」で配分がなされ、ちゃんちゃんになるようになっていたとする。
その上で、コラボ動画の収入はすべてヤオヨロズ株式会社に入っているものとする。
なぜこのようなことになるのだろうか?
おそらく最大の功労者はヤオヨロズ株式会社の「たつき監督」であり、当然に配分ももっとあってしかるべきであるとヤオヨロズ株式会社が大ヒットした後になって言い出し、しかしながら契約で配分などは明確に決められており、抵抗できず、本来は規約違反である二次創作収入にて得ようとしたのだろう。
まあ普通はこういうとき話し合いがもたれ、両者落ち着く時に落ち着くものだが、まあ人間のおろかなところと言うか、カドカワもいろいろ嫌な噂も聞くことがある。圧倒的有利な立場であるカドカワが圧倒的有利な立場を1歩も譲らなかったとしても不思議ではないし、不利を理解せずヤオヨロズ株式会社が強気を変えなかったとしても不思議ではない。とにかく、交渉は決裂したのだろう。
かわいそうなのはファンだ。ファンだけが置いてきぼりで、右往左往させられる。まあ普通はこういうどろどろしたものはほとぼり冷めるまでほっとこうとなるのだが、そこはオタク。愛があふれてしまい、関わらないと気が済まないのであろう。
まあ起こってしまったことは仕方がない。今後のシミュレーションだが、以下のようになると思われる。
けちがついたものの、2期を別の制作会社を使って制作する場合:
カドカワ:ヒットしたら得。ヒットしなかったら損。1期を足した全体してはちょっと得か?(需要を見誤って大量グッズ生産による大損もありえる)
ヤオヨロズ株式会社:収入がなくなり損。(名前が売れたので仕事を取れる可能性はあり。でも投資家側と揉めたから誰からも投資をもらえないで損だけが残る可能性も十分ある。)
別の制作会社:事業収入は得られる(ただし、作品愛に狂ったオタクから下げ評価を食らう可能性あり)
けちがついたので収益を低く見積もり直し、2期は取りやめる場合:
カドカワ:2期の損がでないので1期の得が手元に残る。ただし、もっと正当性を主張しないと評判は下がる。
ヤオヨロズ株式会社:名前が売れたので別の仕事を取れる可能性はあり。でも投資家側と揉めたから誰からも投資をもらえないで損する可能性も十分ある。
このシミュレーションからもわかるとおり、カドカワは圧倒的有利な立場にあるのがわかる。ヤオヨロズ株式会社は商売上手であれば今後も大丈夫であろうが少し先行き不透明なのでちょい不利という評価だ。
何度も言うが可愛そうなのがファンだ。北斗の拳のサウザーさんの台詞がよぎってしまう。
「見ろこのガキを シュウへの思いがこんなガキすら狂わす!!」
「愛ゆえに人は苦しまねばならぬ!! 愛ゆえに人は悲しまねばならぬ!!」
原稿用紙12枚分にもなったが、以上が長くなったが私の現在時点の個人的な理解である。再記するが、100%私の勝手な解釈であり、すべて事実に基づいていない妄言であることは注意いただきたい。